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執務室には、楸瑛以外、いなかった。 目の前の楸瑛に俺は尋ねた。 「楸瑛、主上はどうした。?」 「府庫にいった。」 上目遣いに、藍玉の瞳が自分を見つめた。 「主上についていかなかったのか?」 「ああ、それについては大丈夫。護衛はつけてある。」 じとりと藍玉の瞳が自分を見つめる。 楸瑛は感情を表に出さないといわれているが、それは違う。 楸瑛の場合は、目、すなわち眼差しに多くの感情を表すことが多い。 腐れ縁だがらこそ、楸瑛の眼差しから感情を読み取ることはできる。 「何かあったのか?」 |
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「府庫に案内しろ。そろそろ主上に戻ってもらわねば困るからな」 「了解」 楸瑛は、立ち上がると絳攸の持っている本を半分持ち、府庫へ向かう。 「現金な奴」 呆れたように絳攸はつぶやくと、楸瑛の後について府庫へ向かった。 |